ふるさと納税を始める前は源泉徴収されていたので税金の仕組みはちょっと苦手というサラリーマンの方にも分かりやすくふるさと納税の控除の仕組みを解説していきます。
住宅ローン控除が含まれている場合など分かりづらいところも多いと思いますがこの記事を読めば疑問が全て解決します。
控除額は限度額!だから重要!
どうして控除額が重要なのかというと、自分が行ったふるさと納税の総額から控除を受けられる額が自分の限度額になるからです。
つまり
控除額=限度額
ということです。
ふるさと納税は行った寄付が全て控除されるわけではなく受けられる控除には上限があります。これが控除の上限となっています。よく私のふるさと納税の限度額はいくらですか?と言われる限度額は控除の上限のことをいっています。
つまり、自分がふるさと納税で受けられる控除の上限額を正しく知るということは、ふるさと納税をよりお得に利用できる近道となるので正しい控除の計算方法を知っておきましょう。
ふるさと納税の控除とは?
ふるさと納税で受けられる控除には2種類があります。
- 所得税控除
- 住民税控除
2種類ありますが、サラリーマンの方であれば普通はワンストップ特例制度を利用して確定申告をしていないと思いますので、所得税控除に関してはあまり重要ではないと思います。ワンストップ特例制度で手続きをしていればふるさと納税の控除はすべて翌年の住民税から限度額までは自動的に控除されています。
確定申告をした場合は、所得税控除と住民税控除が組み合わされて控除されますが、控除される総額は同じ金額となります。
控除の上限額の計算方法
控除の計算をしようと思ったときに疑問になるのはいつの年収をもとに計算すればいいの?ということですね。今年のふるさと納税の控除額を計算するときに使われる年収は今年の年収が使われます。
今年の年収?
と言われてもまだボーナスも出ていないし、最終的な金額は分かりませんよね。そんな時には昨年の収入をもとに計算をしていきます。サラリーマンの方であれば利用できるのは「源泉徴収票」です。
難しい計算方法を言われても面倒臭くなってしまいますよね。そんなときに便利なのがふるさと納税サイトの限度額シミュレーションを使うことをお勧めします。
どのサイトも簡易シミュレーションでは収入と家族構成を入れるだけで簡単に控除の限度額を計算してくれます。
詳細なシミュレーションではふるさと納税サイトの各社で違いがあったので自分にあったサイトを使うことをおすすめします。
ふるさと納税サイトの限度額詳細シミュレーションを比較してみた
ここでは実際に私が使ってみて使いやすかったふるさと納税サイトをご紹介します。入力項目に何があるのかを見れば、源泉徴収票に記載されている項目を漏れなく入力できるのでかなり精度の高いシミュレーションができます。使ってみた感想と入力項目でこれはべんりだなあと思うものをまとめました。
楽天ふるさと納税の限度額シミュレーション
断トツに詳しいのが楽天ふるさと納税の詳細シミュレーションです。
サラリーマンであれば定年による退職手当までカバーしています。また不動産所得や株式の配当所得など財テクで得た一時所得など細かく設定できるのでサラリーマンから個人事業者、経営者まで幅広く使えるNo1のシミュレーションです。
雑損控除という聞きなれない控除もありますが、これは盗難や災害で損害を受けた場合に受けられる控除です。
これは便利の一言です。
入力できる項目はなんと28項目もあります。詳細は楽天ふるさと納税サイトを覗いてみてください。
- 譲渡取得
- 株式
- 不動産(短期)
- 不動産(長期)
- その他
- 不動産所得(賃貸収入など)
- 事業所得
- 一時所得
- 利子所得
- 配当所得
- 退職所得
- 山林所得
- 雑所得
- 住宅借入金等特別控除額
- 医療費控除
- 寄付金控除
- 雑損控除
さとふるの限度額シミュレーション
住宅ローンを組まれている方にはさとふるがおススメです。
ただ心配になるのは家族構成を入れる入力項目がないことです。
よーく読んでみると、サイト内に家族構成や保険料の控除額などは所得税控除の合計額で考慮されているとの記載があったので心配いりません。
市町村民税所得割や都道府県民税所得割は自治体によってことなるのでこの項目があるのも助かります。
主な入力できる項目は以下となります。詳細は「さとふる」公式サイトをご確認ください。
- 総収入金額
- 給与所得控除後の金額
- 所得控除額の合計額
- 住宅借入金等特別控除の額
- 市町村民税所得割
- 都道府県民税所得割
ふるなびの限度額シミュレーション
ふるなびはかなり詳細なシミュレーションができるので使っていたのですが、住宅購入を機会に住宅ローン控除を入れる項目がないことに気が付いてしまいました。
住宅ローンを組んでいない方であれば問題なく使えます。詳細は「ふるなび」公式サイトをご確認ください。
- 扶養家族の人数
- 障碍者の人数
- 社会保険料等の金額
- 地震保険料の控除額
- 医療費控除の金額
au PAY ふるさと納税のシミュレーション
サラリーマンに特化した詳細シミュレーションというイメージです。サラリーマンの源泉徴収票に記載されているものはすべて網羅しています。住宅借入金等特別控除額もあるので住宅ローンを組んでいる方でも使える詳細シミュレーションです。
個人的には住宅ローンもあり、財テクもしていないのでさとふるを使って計算していますが、今後いろいろな所得が発生したときは楽天ふるさと納税が便利そうです。
控除にまつわる時期と期間の疑問を解決
控除にまつわる質問で多いのがいつからいつまでなの?というものなのでシンプルに分かりやすくまとめました。
所得はいつからいつまで?
今年の限度額は今年の最終的な収入で決まります。そのため今年の「限度額=控除の上限」は今年の1月~12月までの所得で決まります。ただサラリーマンの場合は年収がそれほど上下しないので参考として前年の収入をもとに計算をします。
控除の申請時期
控除の申請時期はワンストップ特例制度と確定申告でタイミングが異なります。サラリーマンがワンストップ特例制度を使うためには、今年のワンストップ特例制度の申請は翌年の1月10日までにふるさと納税をした自治体に届く必要があります。確定申告で行う場合は翌年の確定申告の時期に漏れずに申請をする必要があります。
- ワンストップ特例制度:翌年の1月10日までにふるさと納税を行った自治体へ申請書類が届くこと
- 確定申告:翌年の確定申告で行う
控除されるタイミング
控除されるタイミングは住民税と所得税控除で違います。
住民税控除が行われるタイミング
翌年の6月~翌々年5月までに支払う住民税から控除額を12ヶ月で割ったものが毎月控除される。サラリーマンの場合は給料から天引きされているので分かりづらいですが、翌年6月頃に会社から住民税決定通知書が届きます。住民税決定通知書をみると控除された額が記載されているので確認できます。
所得税控除が行われるタイミング
翌年の5月頃に確定申告で申請した口座に還付されます。所得税控除は還付なので直接控除された額が戻ってきます。
所得税と住民税に関わる豆知識と計算方法
ふるさと納税サイトの詳細シミュレーションを使えば簡単に自分の控除額が分かりますが、ここでは参考までにどのようにふるさと納税の控除が計算されているのか簡単に説明しておきます。
所得税の計算方法とは?
所得税=(所得-所得控除)×所得税率-税額控除
所得は収入です。サラリーマンの私でいうと給料ということになります。
所得税率は所得に対してかかる税金の税率です。
ここでは控除という言葉が2つでてきました。まず控除には2種類あることを覚えておきましょう。
上記の式をみると分るとおり所得控除は所得からマイナスされる額です。
ここが大事なのですが所得税は、【所得】x【所得税率】で計算されているということです。
この計算式にあるマイナスされている所得控除があるということは所得が少なく計算されますから所得税が少なくなるということです。
例を出してみましょう。
10万円の所得の場合で所得税率が10%の場合
10万 x10%(所得税率)=1万円(所得税)
ここに所得控除1万円が入ると
(10万円-1万円)=19万円 X 10% =9000円
所得控除の1万円で所得税が1万円から9千円にさがっていますね。
つまり1000円が所得税から差し引かれたことになりますので控除を受ける前よりも
1000円税金が安くなったと考えられます。
もっと計算を簡単にすると、【所得税控除】x【所得税】が安くなった税金分ということになります。
所得税控除 1万円 x 所得税 = 1000円
医療控除などがこれにあたります。
税額控除とは?
これは控除の額がそのまま還付されるものです。計算式をみても分りますが税額控除の金額が
そのまま税金額から差し引かれて還付(返金、減税など)されるものになります。身近なところでは住宅ローーン控除などがこれにあたります。
ここまでを押さえておいた上でふるさと納税で受けられる控除は以下の2つです。
- 所得税の所得控除
- 住民税の税額控除
ふるさと納税に当てはめてみよう
実際に10,000円のふるさと納税を行ったとしてそれぞれ計算してみましょう。
条件は自己負担が2000円なので10000円-2000円=8000円となります。実際にこの8000円になるのかそれぞれ計算していきます。
所得税の所得控除
ふるさと納税10000円の場合で所得税率が10%の場合
8000円(所得控除) X 10%(所得税率)= 800円(還付される額)
この800円が所得税から還付される金額となり税金が安くなりました。ちなみに所得税は
寄附した年の所得税から控除されます。
住民税の税額控除
こちらはちょっとややこしい。
- 住民税からの控除(基本分)= (10000円-2,000円)×10%=800円
- 住民税からの控除(特例分)= (10000円-2,000円)×(100%-10%(基本分)-10%(所得税の税率)=6400円
ちなみに住民税は寄附した翌年の住民税から毎月少しずつ控除されます。
所得税の所得控除と住民税からの控除は以下のようになります。
- 800円 所得税の所得控除分 1 所得税の所得控除より
- 800円 住民税からの控除(基本分)2 住民税の税額控除より
- 6400円 住民税からの控除(特例分)3 住民税の税額控除より
自己負担を除いた8000円分が控除されました。
計算としてはこのように複雑ですが上限額までは2000円の自己負担を引いたものが税金として控除されると覚えておけば問題ありません。またサラリーマンであればワンストップ納税を行うことでこのような複雑な計算の必要はなく自動的に住民税から控除額分が差し引かれています。