総務省からふるさと納税に関わる現況調査結果が発表されました。
この結果から人気の自治体や現在のふるさと納税の状況、ふるさと納税制度の今後などを読み解くことができますのでご紹介します。
その前にふるさと納税制度とはどんなものなのかおさらいをしておきましょう。
ふるさと納税制度とは?
ふるさと納税制度は寄付金制度を利用した納税制度になります。
収入に応じて適用可能な上限額までであれば、自己負担2000円で好きな自治体に納税して良いとする制度です。
ふるさと納税と名前が付いていますが自分のふるさとにしか納税できないわけではありません。自分の好きな自治体に納税することができます。
加えて自治体からの返礼品を受け取れるので欲しい返礼品のある自治体を選んで納税することができるのです。
現在ではふるさと納税サイトが多数あるので納税しているというよりもウェブサイトでショッピング感覚で返礼品を選びながら納税することができます。
受入れ額と受け入れ件数から見る人気自治体 TOP10
総務省が発表したふるさと納税額の多い自治体を見ると人気自治体が見えてきます。人気自治体はどんな返礼品でふるさと納税を集めているのでしょうか?
あなたの欲しい返礼品も人気自治体ではお得に紹介されているかもしれません。ここでは実際に総務省が発表した平成29年度(2017年)のランキングを元にどんな自治体が人気を集めていてどんな返礼品を提供しているか実際に見ていきましよう。
第1位 大阪府泉佐野市
受入れ額 130億
受け入れ件数 86万2千件
圧倒的な1位を獲得したのは大阪府泉佐野市です。泉佐野市は申し込みの面でもいくつものふるさと納税サイトと提携をしているので申し込み易い自治体の一つです。
泉佐野市が圧倒的な人気なのは取り扱っている返礼品にあります。実際には返礼品を見てみると欲しい返礼品や人気の返礼品が数多く出ています。
泉佐野市を扱っているふるさと納税サイト
- ふるなび
- 楽天ふるさと納税
- さとふる
泉佐野市の人気返礼品
泉佐野市の人気返礼品と言えばやはりピーチ航空のギフト券です。金券を提供する自治体が少なくなってから泉佐野市は全日空のLLC航空のギフト券の返礼品として提供していることで人気が高い自治体です。
泉州タオル
金券以外にも人気のあるのが泉州タオルです。表は通気性が良く乾きの早いガーゼ面で裏は無撚糸を使用したパイル面と両面で異なる肌触りのタオルに仕上げてあるのが人気の秘密です。
第2位 宮崎県都農町
- 受入れ額 79億
- 受け入れ件数 43万件
宮崎牛やうなぎ、フルーツなどバラエティに富んだ還元率の高い特産品が数多く返礼品としてでている自治体です。なかでもPREMIUM PORK尾鈴豚の詰め合わせは返礼品人気上位になるなど全国から寄付金を集めています。
土用の丑の日に最適な【ふるさと納税】迫力満点 うなぎ蒲焼(長焼特大サイズ5尾入)はうなぎが高騰している今年の夏にはかなりお得な返礼品といえます。
都農町を扱っているふるさと納税サイト
- ふるなび
- 楽天ふるさと納税
第3位 宮崎県都城市
- 受入れ額 74億
- 受け入れ件数 52万3千件
都城市を扱っているふるさと納税サイト
- 楽天ふるさと納税
- さとふる
なんといっても人気返礼品に還元率の高い宮崎牛や黒毛和牛、豚肉のお得な返礼品が数多くあることがこの順位を証明しています。以下牛肉の人気返礼品をリストにしました。
第4位 佐賀県みやき町
- 受入れ額 72億
- 受け入れ件数 12万件
4位に佐賀県みやき町がランキングされているのを見てやっぱりと思った方はかなりふるさと納税に詳しい方でしょう。
佐賀県みやき町といえばダイソンやシャープなどの電化製品が多く返礼品として出されているところです。特にダイソンの掃除機やファンヒーター、シャープのプラズマクラスターなどに加えてロボット掃除機のルンバまで数多くの人気返礼品がそろっています。
みやき町を扱っているふるさと納税サイト
- ふるなび
- 楽天ふるさと納税
第5位 佐賀県上峰町
- 受入れ額 66億
- 受け入れ件数 51万件
上峰町を扱っているふるさと納税サイト
- ふるなび
- 楽天ふるさと納税
九州産うなぎの特上蒲焼きを始めたとした魚介類の返礼品が人気ですがなんといっても人気なのは高級な佐賀牛のサーロインステーキや佐賀牛「切り落とし肉」 500gなどボリュームたっぷりの返礼品が数多く返礼品として用意されていることです。
その他には寝具関係の返礼品が人気を集めておりフランスベッドの返礼品が数多く提供されています。
- 第6位 和歌山県湯浅町
受入れ額 49億
受け入れ件数 32万5千件 - 第7位 佐賀県唐津市
受入れ額 43億
受け入れ件数 38万4千件 - 第8位 北海道根室市
受入れ額 39億
受け入れ件数 24万2千件 - 第9位 高知県奈半利町
受入れ額 39億
受け入れ件数 19万6千件 - 第10位 静岡県藤枝市
受入れ額 37億
受け入れ件数 10万7千件
ふるさと納税の現在の状況は?
まずは総務省が発表した『ふるさと納税の受入額及び受入件数の推移』のグラフから見てみましょう。
ふるさと納税制度が始まったのは平成20年です。誰でも利用できる制度でしたが、分かりづらいことや確定申告が必要だったこともありまだ利用者は一部の人だけに限られていました。
ここから約5年間はしばらく横這いの状態が続いています。
状況が大きく変わるのが平成27年度です。この頃のふるさと納税の大きなトピックとしてはなかなか浸透しないふるさと納税に大きなテコ入れがされたことです。
- 住民税所得割の控除が2割へ
- ふるさと納税サイトの増加
- ふるさと納税ワンストップ特例制度導入
住民税所得割の控除が2割へ
ふるさと納税の人気に火がついた制度改革の筆頭といえる制度の見直しです。
それまで控除額は住民税所得割額の1割でしたが平成27年度(2015年)から2割へと増えました。これを契機に27年度のふるさと納税の額が一気に増加します。
それまでふるさと納税の返礼品にあまり力を入れていなかった自治体も、ふるさと納税利用者が増加するとその獲得に向けて一気に動き出します。
還元率90%のお得な返礼品が数多く出回り、さらには電化製品やパソコンといった返礼品までか自治体の返礼品としては用意されました。
ふるさと納税サイトの増加
平成27年度あたりからふるさと納税サイトが数多くできるようになりました。
それまでは自治体のホームページを探して気に入った返礼品を見つけて、自治体の指定する口座へ振り込むというあまり便利ではない方法でしたがふるさと納税サイトが増えた事で、気に入った返礼品が見つけやすく、決済はクレジットカードで行えるようになった事で利便性が高まりふるさと納税の利用者が急増していきます。
ワンストップ特例制度で空前のふるさと納税ブームが到来
平成27年度4月1日から導入されたワンストップ特例制度は確定申告をしないサラリーマンにもふるさと納税制度を広める大きな役割を果たしました。
これまではふるさと納税分は確定申告が必要でサラリーマンのように確定申告を普段行わない人達にとって控除の仕組みを浸透させることが課題でした。
しかしワンストップ特例制度を利用する事で住民税から自動的に控除されるようになりふるさと納税を利用する手間が一気に省けました。
人気の自治体はブラックリストにあがっていた
平成27年度はふるさと納税が広く周知されるうえで大きな制度改正が行われ利用者が急増したエポックメーキングな年でしたが同時にふるさと納税が抱える闇を浮き彫りにした年でもあります。
総務省からふるさと納税に関わる現況調査結果ではブラックリストに上がっている自治体も合わせて発表されています。
高額返礼品を用意した自治体の失敗
ふるさと納税は収める税金がなくなることではなく税収の少ない地方自治体へ税金を還流するための方法として作られました。
しかし自治体の中には税収を増やす目的で高還元率の返礼品を用意する事で、実際に納められる税金がわずかになってしまう自治体も現れました。
これでは国の総量としての税金自体が減少するため本末転倒になります。しかしふるさと納税は自分のふるさとへ納税する必要はなく好きな自治体へ納めることができます。
そのため各自治体は他の自治体よりも魅力的な返礼品を数多く用意する事で自分達の自治体へふるさと納税を集めようと動きだしたのです。
自治体同士の競争によって返礼品は高額となった結果ついに高市早苗元総務相の時代に総務省は返礼品に関しての通告を都道府県知事に向けて発信する自体となりました。
高市早苗元総務相がマスコミや報道などでこの問題について積極的に発言したことで、この問題は広く知られることとなり、この時に槍玉に挙げられた自治体で高額返礼品を取りやめたところも数多くあります。
本来強制力執行力はない都道府県への通行でしたが、マスコミが国と自治体の対立図式で大きく取り上げた結果、パソコンなどを返礼品としていた自治体の多くが高額返礼品をやめてしまいました。
一番問題視されているのは高額返礼品の転売問題
野田総務相時代になると高市早苗元総務相時代とは高額返礼品についての認識がやや変化してきました。
高市早苗元総務相が問題視したのも高額返礼品を手に入れて転売をする事で現金を手にしている納税者が数多くいることを指摘したものでした。
取り締まりの方法として資産価値のある家電、パソコンなど転売目的に利用されている可能性が高い返礼品を無差別に対象としたことに対して野田総務相は
高額な返礼品自体が問題なわけではなく転売することによって収入を得ていることが問題。転売できない仕組み作りが重要。
として高額返礼品が問題なわけではないと言及しました。
この発言は自治体を元気づかせ、シリアルナンバーを記録することで転売できなくさせるなどせつきよな取り組みを始めた自治体も数多くあります。