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野田聖子総務相が発表したふるさと納税上限3割の法的規制とは?

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ついに総務省が本腰をあげました。度重なる通知にも関わらず、返礼品の還元率が3割を超える自治体は246市町村もあるそうです。野田聖子総務相はこの事態を重くみて、これまでのように都道府県知事への通知ではなく法的な拘束力のある制度を取り入れることを発表しました。

これまでの都道府県知事への返礼品に関する通知ってなんだったの?

ここで疑問のある方がいらっしゃるのではないでしょうか。

これまでも再三再四に渡り総務省は都道府県知事へ返礼品の3割上限や資産価値のある電化製品やパソコンなどの高額返礼品に関して自粛するよう通達を出しています。それにもかかわらず一部自治体は通達を無視して返礼品の見直しをしていません。

実は都道府県知事への通達には法的な拘束力はありません。地方自治法では地方自治の観点から通達と呼ばれる法的な拘束力が発生するものは廃止されており、技術的助言として交付されています。

つまりこれまでの通達とは技術的助言で交付されているため法的な拘束力がなく多くの自治体が従わなくても罰則などを設けることはできませんでした。

今回は法的拘束力のない交付を出すのではなく、地方税法改正案を出すことでさらに突っ込んだ規制を検討していることを発表したわけです。

地方税法とは?

地方税法の歴史は古く1950年、昭和25年に交付された法律です。これは憲法に定められる地方自治の保証する内容からきているもので、簡単に言うと地方自治体は行政的機能と立法的機能を保証しているということです。

ふるさと納税で控除される住民税は地方税法によって道府県民税と市町村民税のことを指しています。

今回、野田聖子総務相が考えている処置は、3割上限や高額返礼品を提供し続ける地方自治体に対して、ふるさと納税の対象から外して住民税の控除が受けられないようにすると発表しました。

つまり地方税法を改正しなければ野田聖子総務相が考える返礼品の規制案は実行することができません。

今年が最後 3割以上の返礼品は法的規制で住民税控除の対象外に

現在進めている地方税法改正が来年の国会で成立すれば返礼品の3割上限は事実上法的拘束力を持った通達ということになります。そうなると仮に寄付をしても住民税の控除が受けられないことも起きてきます。ここでこれまでのふるさと納税返礼品に関して交付されてきた内容を振り返ってみましょう。

総税市第 2 8 号 平 成 29 年 4 月 1 日

ふるさと納税に係る返礼品の送付等について
2 ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品について
より抜粋
(1) 次に掲げるようなふるさと納税の趣旨に反するような返礼品は、換金の困難性、転
売防止策の程度、地域への経済効果等の如何にかかわらず、送付しないようにするこ
と。
ア 金銭類似性の高いもの(プリペイドカード、商品券、電子マネー・ポイント・マイ
ル、通信料金等)
※1 使用対象となる地域や期間が限定されているものを含む。
※2 ふるさと納税事業を紹介する事業者等が付与するポイント等を含む。
イ 資産性の高いもの(電気・電子機器、家具、貴金属、宝飾品、時計、カメラ、ゴル
フ用品、楽器、自転車等)
ウ 価格が高額のもの
エ 寄附額に対する返礼品の調達価格の割合(以下、「返礼割合」という。)の高いもの

地方税法改正案が国会を通った場合に現在のふるさと納税返礼品の中で確実になくなる返礼品があります。

金銭類似性の高いものにあげられているものの中で商品券やギフト券になります。これらは一旦発行されれば無期限のものも多いため、将来的にと考えていたなら今年中に貰っておくのがおすすめです。

資産性の高いものに具体的にあげられている返礼品も同様です。
価格が高いものはかなり曖昧で判断が分かれるところです。寄付金額の高さなのか、返礼品の元の値段なのかというところになります。3割上限がここまで言われる前は、寄付金額が低かったものでも3割上限を守るために寄付金額が高くなった返礼品も多く存在します。

仮に地方税法改正案が成立した場合に具体的な返礼品の種類がある場合は良いですが、そうではないものも多く存在します。それらを誰がどのような基準で判断するのか、運用に関しても疑問が出てきます。
実は電化製品やパソコンなど高額返礼品が多く存在することも確かですが、果物、牛肉の中にはブランド牛で高額な返礼品が多く存在しています。
また、魚介類や野菜も時価のためどこを3割上限と定めるのか難しいところです。

ふるさと納税の返礼品を制限するために地方税法改正で本当にみんな納得するのか?

一番の疑問点となるのが、みんなが納得できる規制ができるのか、という点です。
今回の野田聖子総務相の発表はふるさと納税に関する実態調査をもとに寄付金を多く獲得している上位3自治体が3割上限を無視した過度な返礼品を数多く提供していることを元にしています。

規制が入る前に必ずチェックしておきたい自治体リスト

高額返礼品や金券、電化製品を提供している自治体はかなりの確率で厳しい規制が適用されます。来年になったらなくなりそうな返礼品を用意している自治体リストはこちらです。

  1. 泉佐野市
    大阪府泉佐野市
    格安航空会社で使えるピーチポイントやビールなど人気の返礼品はまず泉佐野市をチェックすべしと言われる自治体。
  2. 佐賀県吉野ヶ里町
    佐賀県吉野ヶ里町
    ダイソン製品やヘルシオグリエ、掃除ロボットルンバと人気電化製品が数多く出典されている自治体。
  3. 大分県国東市
    大分県国東市
    返礼品でカメラを探しているなら大分県国東市と言われるほどカメラの返礼品が充実している自治体。
  4. 宮城県多賀城市
    宮城県多賀城市
    ソニー製品を返礼品で探しているなら宮城県多賀城市です。テレビ、カメラ、ビデオとなんでも揃う自治体。
  5. 茨城県日立市
    茨城県日立市
    家電メーカー日立のお膝元だけあり日立製品の取り揃えが豊富です。日立市の家電返礼品で生活家電一式を揃えることも可能。
  6. 神奈川県綾瀬市
    神奈川県綾瀬市
    以前はパソコンも返礼品に出ていましたが現在はカメラがメインとなっています。カメラの取り揃えは国東市と同じぐらい豊富

仮に地方税法改正案が国会に提出された場合、まず問題となるのは憲法に定められる地方自治の保証問題です。
さらに日本は国会議員が地方行政に大きく関わっているため、中には地元からの、反発や要請によって改正案に反対するケースも出てくるでしょう。
一番の問題は、農産物や畜産物、海産物などの自然に依る特産物がない自治体は何を返礼品として提供するのかということです。
運用方法によっては公正性を欠き不満が続出することも考えられます。